3つ目の壁(店舗内での従業員の距離)
その昔、バブル時代と言われた頃、私は東京都内でお店で勤務をしていて深刻な人不足を体験しました。
飲食店運営会社の本部に勤めていた時にも、採用活動には苦労しました。
飲食店の人不足はいつも深刻な問題ですが、私の印象としては「求人を出しても人が来ない」という問題と「せっかく採用しても定着しない」という問題を比較した時、後者の方を先に解決しないことには永遠に人不足は解決せず、求人費用が固定費の様になると感じていました。
採用後にすぐ離職してしまう原因は、労務管理の問題よりも人間関係に起因することが多いと思います。
採用する側、受け入れる店舗は何も教えなくてもすぐ出来る人が欲しい。
入った方は「何も教えてくれない」「聞くと嫌がられる」「私は歓迎されていない」と感じる。
そして誰にも相談することなく「やりたかったことと違うので」「聞いていた勤務内容とは違うので」など本音とは違う退職理由で早々に離れていきます。
飲食店業界は、そもそもこの業界を志向して入社する人が多いので、世に言われる労務管理的な問題は2番目になると思います。最初に取り組むのは上位者のコミュニケーションスキル習得、入社後の教育訓練の仕組みづくりです。
事業規模が小さいときには、このことを重要と認識はしていても後回しにすることが多いように感じます。
入社を検討する前に、実際に店舗をお客様として利用して働いている人の雰囲気を判断して応募している場合も多くあります。レストランの場合だと料理のクォリティを体験して決めている場合もあります。
良い人材は意外とこのパターンで入社することが多いように感じます。前述の取組みがその雰囲気づくりのスタートです。
少人数の社員で運営しているからこそ起きる問題は他にもあります。
当然、社員は休日も消化しないといけませんので、作業が属人化している、また店長とその他のスタッフのスキルに格差があるなどの要因で、営業レベルが日によって違う不安定な状態でお客様からの評価を落としてしまうことが多々あります。
この解決には「あるべき店舗の体制」、「オペレーションの可視化」と「その体制に必要な教育訓練」を体系的な仕組みにしていくことが重要です。
ポイントは「2番手」「3番手」の育成。店長の右腕づくりです。
料理店でもパン屋さんであっても、もし店長がその調理や製造の中心になっている場合は、その補佐をタイミングよく判断し、他のスタッフにも指示ができて、時には店長に代わって店舗をコントロールできる人材を育成する仕組みがお客様満足度のアップにつながります。