〈オーナー一人で管理できる店舗数は?〉

数百店舗を運営するような企業になると組織も大所帯となり、分業化が図られていると思います

分業された組織ならばスーパーバイザー1人当たり10店舗~15店舗程度が目安かもしれません。

しかし、経営者であるオーナーは、そうはいきません。

小さい組織の中で、経理担当は別にいたとしても出店から業績管理、採用活動や人事労務的な業務など実務的なことに忙殺されると経営者としての時間が無くなります。

私の印象としてはオーナーが1人で現場の状況を把握しながら店舗管理をすることができるのは5店舗くらいが限界なのではと思います。

〈店舗管理ができないと起きること〉

私が前述した飲食店運営会社に入社して、先ず行ったことは店舗をすべて理解することでしたが、店舗訪問をするだけではなく全店のPL実績を時系列で精査していきました。

すぐに目についたのが採用費用と広告費用が、毎月ほぼ定額で経費として計上されていることでした。

例えばアルバイトの採用であれば、卒業する人員を考慮して計画的に採用し、後は随時必要に応じてということになると思います。

店長にインタビューしてみると経費コントロールの意識が低い店舗と慢性的に人不足が解決しない店舗がありました。

私は無計画に出稿している店長には出稿時期とプランの見直しをそれぞれの店舗の人員体制を確認しながらアドバイスしました。

そして、慢性的に人不足のお店には別の指示をしました。

先ずはアルバイトが離職している理由を探ることです。離職する理由を無くさない限りは永遠に採用費用が発生します。

1つ目はアルバイトが採用された後、歓迎されていない雰囲気を無くすことでした。

初出勤でユニフォームは事前に準備しているか?店舗コンセプトやルール、心構えも教えずに、いきなり作業を始めさせていないか?面倒くさそうに教えていないか?社員と先輩アルバイトの輪に入れているか?

要は歓迎している雰囲気を出しているかということです。

2つ目は教え方と覚えてもらうことに基準があり、ステップになっているか?

だらだらと教えていても覚えられない。人によってやっていることが違っても困惑する。

慢性的な人不足の店舗は歓迎する雰囲気もないですが、教える手間を嫌がる傾向も強いと感じています。

私たち本部ができるサポートはスタッフ教育についてのコツを伝授することとトレーニングマニュアルを製作してあげること、そしてそれに紐づいたアルバイトの評価制度をつくることです。

これらは、一つ一つの作業と基準を決めていくことになりますので、アルバイトは短時間の勤務の中で効率よく習得し、且つ店舗QSCを向上させるきっかけにもなり一石二鳥です。

また、アルバイトは自分が今求められているレベルと今後どうなれば時給が上がるのかわかり、モチベーションアップにつながります。

しかし、制作には時間もある程度かかるので簡易版を出来るだけ早く作り、後はバージョンアップをさせていくことにしました。

3つ目は誰が教えるか?

基本的には店長、それに準ずるスタッフをトレーナーとして教育すること。上記とも重なりますが、誰が教えるかが非常に重要です。やって見せる。目的や手順を再度マニュアルで説明する。実際にやらせる。評価してあげる。この繰り返しが必要ですが、その手間を嫌う店長がいるのも事実です。しかし、これが店長自身にとっても大事なことで、店長やそれに準ずる人とアルバイトが信頼関係を構築していく最初の過程であることを繰り返し伝えました。

これらの取り組みで結果的に既存店のアルバイト求人広告費用はそれまでの▲50%となりました。

店長とアルバイトは友達関係の仲良しグループではいけません。アルバイトは店舗を一緒に運営していくパートナーです。そのパートナーがお客様に誠意をもって接してもらうためには店長の人間的な魅力と信頼関係構築が必要不可欠になってきます。

そのために本部は、店長が店舗で指揮、命令をしやすい仕組みを様々な側面で提供することが役割だと考えています。

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