多店舗化で起きる〈オーナーと従業員の距離〉

IT化だけでは解決できないこともあるのが飲食店業

1店目ではスタッフはオーナー様の薫陶を直接受け、そしてその動きを間近に見ていることで、信頼関係が生まれ、QSCも安定するでしょう。

しかし、フードサービス業は事業規模≒店舗数(拠点数)の要素が強い業界です。

出店エリアと店舗数を拡大するごとに、人と店舗管理に関して様々な問題が起きます。

経営者自身だけでマネジメントできなくなった店舗規模になってからでは大きなパワーと時間が必要となります。

1つ目の壁(オーナーと従業員との距離)

飲食店で働いていると〇〇会社に入社したというよりも〇〇店に入社したという感覚になることがあります。

この感覚になると、やる気満々で入った社員もただ機械的に作業をする人になって育たない、閉鎖的なコミュニティのような独特の人間関係でスタッフが定着しないなど様々なことが起きます。

結果的に「お客様のためにあるお店」ではなく「自分たち都合のお店」になり、お客様も離反するお店となってしまいます。また、オーナーと社員が価値観を共有できていないと、いつまでもオーナーの指示待ちになったり、判断力が低いままとなります。つまり、いつまでもオーナーが細かい指示をしないと動かないお店になります。

フードサービス業にとって経営理念やビジョンを共有、共感することはとても重要な要素だと私は感じています。

ワクワクするようなオーナーの熱い想いに共鳴して、従業員は自身の目標を持ちモチベーションを高めていくものです。

当期の業績と次年度の目標や将来的なビジョンを共有する場、繰り返し繰り返しオーナーの想いを伝える仕組みや行動。 いつか店長がオーナーの願いやビジョンを自分の言葉でスタッフに語るようになれば、そのお店は大丈夫です。     面倒だけれども大切なことだと思います。

もう一つオーナーと店舗の距離ができると起きてしまうことは問題発見の遅れです。

特にSVのような店舗従業員の上位者がいない規模の時、オーナーが特定の社員とだけコミュニケーションをしている場合が危ない。

店長が「何を報告するべきかわからない」「何が問題かもわからない」「オーナーの意図と違うことをしている」。

そうしている間に以前は稼ぎ頭だった店舗の業績悪化、社員の突然の離職、コンプライアンス違反などを招いてしまうリスクが大きい。

今までの様な密度でお店や社員を見れないからこそ、前述の価値観の共有と共に店舗管理の仕組みが重要です。

1店目から店舗QSC基準の明確化、シフト管理やコストコントロール、教育訓練の仕組みづくりなど店舗運営の標準化を意識してお店づくりをしていくことが必要です。

次回は2つ目の壁(従業員間の距離)

目次
閉じる